音鳴り(おとなり)とは
履き馴染んだ靴から、急に「キュッキュッ」と異音が生じ始める現象があります。
この現象を、「音鳴り(おとなり)」と呼んでいます。
主に靴底(ソール)周辺から音がする場合が多いようですが、アッパー(甲革)から「ギュッギュッ」と摩擦音がする場合もあります。
音鳴り(異音)の主な原因と、対処方法を説明いたします。
▼音鳴りの原因
▼音鳴りの対処方法
・レザーソール(革底)の場合
・オールソール交換修理
▼まとめ
音鳴りの原因
音鳴りの主な原因として考えられるのは下記の3つが挙げられます。
1、ソール内のシャンク(※1)が外れている、もしくは接着が一部外れている。または、シャンクが破損している。
2、アウトソール、中物、中底、ヒールなど、いづれかの部品(パーツ)の摩擦音。
3、甲革(表革)とライニング(裏地革)の摩擦音。
(※1)シャンクとは、主に鉄で作られた靴の骨の役割を果たす部品で、アウトソールと中底の間に挿入され接着されています。
音鳴りの対処方法
1、シャンクが原因の場合
シャンク外れが原因の場合は、シャンクをしっかり接着し直せば解消する場合があります。また、シャンクが破損している場合は、新しいシャンクに交換すれば音鳴りが解消します。ただ、シャンクの再接着や交換は、ソール交換の時にしかできません。ソール交換を靴修理店に依頼する際には、音鳴りがする旨を伝えておいた方がよいでしょう。
(最近のセメント式の革靴で、シャンクがインソール中板の下に装着されている場合が見られます。その場合は、ソールは外さず靴内の中板を外してシャンクを再接着・交換することができます。)
2、パーツの摩擦音が原因の場合
表底、中物(クッション材)、中底などのパーツの摩擦が原因の場合は、ソール交換修理で治る場合があります。ソール交換の際には、すべてのパーツを接着し直すからです。ただ、この場合でもソール交換を靴修理店に依頼する際には、音鳴りがする旨を伝えておいた方がよいでしょう。
3、アッパー(甲革)の摩擦音が原因の場合
表革と裏革の摩擦が原因の場合は、修理することはできません。ただ、これが原因となっている場合は希だと思われます。
革底(レザーソール)の場合
靴底がレザーソールの靴の場合は、ミンクオイルをソール側面から塗って浸透させると、音鳴りが軽減する場合があります。オイル(油)を補充することで摩擦が減るためです。ミンクオイルには固形タイプと液体タイプがありますが、この場合は液体タイプの方が浸透性が良いのでおすすめです。ソール周りに(特に屈曲部を重点的に)しっかりミンクオイルを塗り込み、ソールを屈曲させて馴染ませると効果的です。
オールソール交換修理は当店でも承ります
オールソール交換修理は、当店でも承ります。
→修理のご案内ページ
※お申込みの際に「音鳴り修理希望」とお申し付けください。
ソール交換修理時に、シャンク再接着、破損時は交換、その他点検など、音鳴解消を考慮した工程で修理させていただきます。(→音鳴り補修について)
ただ、今までそのような補修を施したオールソール交換修理で、音鳴りが解消したお客様も多くいらっしゃいますが、解消しなかったお客様もいらっしゃいます。音鳴りの原因が、ソールではない場合もある旨、ご了承のうえご依頼ください。
まとめ
以上ですが、音鳴りは、シャンク外れによる異音と、部品の摩擦音によることが主な原因です。ただ原因がどこなのか特定するのは難しく、ソール交換やその他の対処をしても治らないケースもあります。
シャンク外れの場合はソール交換時にシャンクを接着し直すことで治る場合もありますし、他の原因の場合でも、革の摩擦を防ぐ対策として、靴クリームでのアッパーの適切なメンテナンス、革底(レザーソール)ならミンクオイルによる定期的なメンテナンスなどが重要なのではないかと思います。
(説明文/靴のパラダイス 大嶋信之)