「ロックステッチ」底付け(ソールの縫い付け)時の縫い方について
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靴の修理サービスや通販で靴を永く販売・提供させていただく中で、たまにいただく質問が、「ソール(靴底)を縫ったステッチが擦り切れてしまったら、ソールが剥がれてしまうのではないか?」といったご質問です。
結論からお答えしますと、簡単にソールは剥がれることはないのでご安心ください。
なぜかというと、マッケイ式、グッドイヤーウェルト式(またはハンドソーンウェルテッド式)、ブラックラピド式、ステッチダウン式といった、マッケイ(アンズ)縫いや出し縫いでソールを縫い付ける製法で、靴製造や修理(ソール交換)する場合の縫い付け方式が「ロックステッチ」と呼ばれる、ソールの両側(靴内側と地面側)から二本の縫い糸を絡めながら縫うためです。そのため、地面側のステッチ糸が擦れて切れたとしても、もう一方側の糸は切れていないので、縫いがほつれることはなく、ソールは剥がれることはないです。
また、ソールを縫い付ける前には、しっかり接着も行っていることが多く、たとえ両方のステッチがほつれたとしても、簡単に剥がれるといったこともありません。
上の写真は、グッドイヤーウェルト式の革靴(ドレスシューズ・ビジネスシューズ・紳士靴)の地面側の出し縫い糸が、擦れて切れている写真です。こういう状況になっても、ソールは剥がれていません。もう一方(ウェルト側)のステッチが健在だからです。ちなみに、歩行時に一番擦れやすいのはソール中央部であって、縫い糸の箇所(ソールの端部分)は擦れにくい場所なので、糸が簡単に擦り切れるといったことは少ないです。
写真は、グッドイヤーウェルト式製法の紳士靴の底面(ソール側)の出し縫い糸(ステッチ)が切れてほつれている様子です。
同じ箇所の対のウェルト側の出し縫い糸(ステッチ)。
全くほつれておらず、ソールも剥がれていません。
ウェルト側(上部)の糸と、底面(ソール)側(下部)の糸は別々で、二本の糸がソール内で綾かけのように縫われているためです。