ドレスシューズ(革靴・ビジネスシューズ・紳士靴)における、ジャストフィット(ジャストサイズ)とはどういう状態のことなのか、靴(足)のフィッティングポイントと共にわかりやすく説明します。
▼ はじめに
▼ ジャストフィット(ジャストサイズ)とは
・ 足のチェックポイント
・ 靴のフィッティング
・ ローファー(スリッポン)の場合
▼ まとめ
・ ご参考
▼ 関連ページ
(写真・文/靴のパラダイス店長 大嶋信之)
はじめに
まずはじめに、ビジネスシューズ(紳士靴)やローファー、パンプスなど革靴のサイズ選びの目安についてですが、国内の革靴はJIS規格(日本産業規格)に基づき「足入れサイズ」を表記するよう定められています。ですので、基本的には足の全長(足長)と同じサイズを選ぶようにします。(ご参考:足の寸法を計測する)
例)足の全長が255ミリ=革靴で「25.5cm」
ナイキやアディダス、コンバース、ニューバランスといったナショナルブランドのスニーカーのサイズ表記は、JIS規格には基づいていないため、1.0cm~1.5cmの誤差が生じますので、サイズ選びの際には注意が必要です。
例)ナイキのスニーカーで27.0cm=革靴では「25.5cm~26.0cm」
(ご参考:革靴とスニーカーのサイズの違いについて)
ジャストフィット(ジャストサイズ)とは
靴のサイズが合っている状態とは、どんな状態のことをいうのでしょうか。
フィッティング(サイズ合わせ)における、チェックポイントを説明していきます。
足のチェックポイント
写真は、フィッティングにおける、主なチェックポイントです。
A:踵(かかと)
合っているかどうか。キツい(食い込む)か、ゆるいか。
B:甲
程よく圧迫されているかどうか。痛いほどキツいか、ゆるいか。
C:ボールジョイント(親指の付け根と、小指の付け根)
程よく圧迫されているかどうか。ゆるいか、痛いほどキツいか。
D:土踏まず(縦アーチ)
靴のアーチに合っているか。
E:指の両側
圧迫されていないかどうか。
F:指先
当たらないかどうか。
以上の箇所が、靴のサイズが足に合っているかのチェックポイントとなります。
靴のフィッティングポイント
靴を履いた時の、フィッティングポイントを詳しく説明します。
踵(かかと)が合っているか
靴の踵に合っているかどうか確認します。
隙間がほとんどない状態が望ましいのですが、まったく隙間(余裕)がなく、トップライン(履き口)が食い込むようではサイズがキツいです。
また、ヒールカーブがきつい靴の場合は、靴のカーブが足の踵のカーブに合っているかどうか確認します。市販の既製靴のほとんどの場合は、ヒールカーブはゆるいものがい多いので、特に気にされなくても大丈夫です。カーブがきつく合っていない靴を履くと、踵のフィット感に違和感を憶えます。
(関連ページ:靴のサイズ感の目安-靴のサイズが合っているか確認方法)
甲が合っているか
程よく圧迫されているかどうか確認します。
靴は、甲の圧迫で足の踵を押さえますので、甲がゆるいと靴の中で足が安定しません。
ただ、痛いほどキツい場合は、避けた方が無難です。
また紐靴の場合は、羽根は程よく開いているくらいが、調節が効くため良いです。(ご参考:羽根の開き具合について)
土踏まず(縦アーチ)
土踏まずが、靴のアーチに合っているか確認します。
アーチの長さ(踵をぴったりした状態で、親指の付け根の位置が靴に合っているか)を確認します。
アーチの高さ(カーブ)については、既製靴(市販品)のほとんどがゆるい(低い)ものが多いので、特に気にされなくても大丈夫です。もし、アーチが高い靴の場合、アーチが低い足の方や、扁平足の方がお履きになると、お履きになるうちに痛くなってしまう場合があります。
足幅(ボールジョイント)
親指の付け根と、小指の付け根の骨の出っ張った部分を、ボールジョイントと呼んでいます。
ちょうど歩行時に屈曲する部分です。
この部分は、程よく圧迫されている状態がよいです。甲同様に、ボールジョイントの圧迫で靴内で足がより安定(密着)します。
ただ、圧迫がきつい場合は痛くなってしまう恐れがあるので、避けた方が無難です。
新品時に程よい圧迫があれば、この部分は骨がしっかりしているため、お履きになるうちにアッパー(甲革)が馴染んで足に合ってきます。
指の両サイド
指の両側面が圧迫されていないかどうか確認します。
足の踵をしっかり靴のかかと(後部)に密着させた状態で、指が自由に動かせるだけの余裕があるかを確認します。
この部分が圧迫されていると、お履きになるうちに痛くなってしまったり、外反母趾や内反小趾など指が変形してしまう恐れがあるので、上のサイズにしましょう。
ただ、かかとに余裕があり、指が圧迫されている場合は、サイズがゆるい可能性があります。
指先
指が靴のつま先に当たっていないかどうか確認します。
足の踵をしっかり靴のかかと(後部)に密着させた状態で、5本の指すべてを確認します。
また、靴の上部に爪が当たらないかも確認します。(特に親指)
なお、つま先(指先)には、「捨て寸」という歩行時に必要な余裕分が必要ですので、併せて確認します。
外踝
外側の踝(くるぶし)が、靴のトップライン(履き口)に当たらないか確認します。
足の踝は、内側(内果)より外側(外果)のほうが下の位置に付いているため、外踝の方が当たりやすくなります。(ご参考:足の骨格を知ろう)
外踝が当たっている場合、お履きになるうち痛くなってしまう恐れがあります。
また踝が当たる場合、サイズがゆるい可能性もありますので、サイズを落とすと当たらなくなる場合があります。
(関連ページ:革靴の踝が当たって痛い場合の対処方法)
ローファー(スリッポン)の場合
ローファーやパンプスなど、紐やストラップなどの留め具のないスリッポン型シューズの場合、サイズ合わせが少し難しくなります。甲の調整が効かないためです。
ローファーやパンプスなどのスリッポンシューズの場合、紐などの甲の留め具がないため、靴の踵と甲と幅(ボールジョイント)の3点で足を固定することになります。
ですので、甲や幅がゆるいと踵が安定せずに、歩行時に踵がカパカパし靴擦れを起こしたり、つま先に足がづれ動いて指を痛めたりします。
スリッポンシューズにおける、フィッティングの主なチェックポイントは以下となります。
1、甲や幅(ボールジョイント)に適度な圧迫があり、踵が密着されているかどうか。
2、つま先(指の両サイド)に圧迫はなく、指が自由に動かせるだけのゆとりがあるか。
3、指先が当たらないか、また爪が靴上部に当たらないかどうか。
4、外踝が履き口に当たらないか。
以上をクリアできていれば、サイズが合っていると言えます。
かかとに余裕がある場合は下のサイズをお試しいただいた方が良く、かかとに余裕がなくつま先(指の両サイド)が圧迫されている場合は上のサイズにした方が良いです。
なお、履き口の狭いタイプのスリッポンは、履く時に足は入れにくいですが、履いてしまうと甲が押さえられ足にフィットしやすくなります。逆に履き口の広いパンプスやローファーなどは、サイズが大きいと踵がパカパカしたり、サイズが小さいとフィットしますがつま先が窮屈など、靴(サイズ)合わせが難しくなってきます。
まとめ
以上ですが、要約すると、踵(かかと)と甲がぴったりで、指先が当たらず、指の側面(つま先)が圧迫されていない状態が、サイズが合っていると言えます。
靴のフィッティングポイントをわかりやすく言えば、ボールガウスと呼ばれる足囲(ボールジョイント~甲の周囲/写真の線の部分)より後部(A)はしっかりフィットしていた方が良く、ボールガウスより前部(B)はゆとりがあった方が良いです。
踵がと甲が安定していて、指先は自由に動かせるという状態が、一番履きよく疲れにくいサイズ感と言えます。踵と甲がフィットしていれば、歩行時の屈曲時に踵がしっかり付いてきますし、つま先に余裕があれば、蹴り出し時に足指が靴の前に入りながら広がることができるからです。
以上ですが、当店より通販でお求めになった靴で、サイズが合っているのか、キツいのかゆるいのかわからない場合は、お気軽にご相談ください。現状の状況をお伺いし、必要であればサイズ交換にて対応させていただきます。(サイズ交換について)
ご参考
もし、現在履いている靴のサイズがゆるい場合は、市販のインソールを敷くことで、サイズをぴったりに調整できます。
サイズがゆるいままお履きになると、疲れやすくなるだけでなく、摩擦による靴擦れを起こしたり、足の裏に汗をかきやすくなり臭いのもとになったりします。(ご参考:靴のサイズと足裏の汗の関係性)
逆に、現在履いている靴のサイズがキツい場合は、靴を伸ばす(幅を伸ばす)と楽になります。
市販のシューストレッチャーを使うのも良いですし、街の靴修理店に依頼する方法もあります。
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